Macを使ったゲームのライブ配信環境・2020年版

普段 iMac (Catalina) を使って,Splatoon2をTwitchでライブ配信しています。実は,配信環境についてはそこそここだわっていて,音質/画質/遅延など,「素人にしては頑張ってるね」くらいの品質になっていると思います。その配信環境について聞かれることが多いので,本記事にまとめておこうと思います。

なお,文章をたらたらと書いていますが,これは「なぜこの製品がいいのか」を説明しているだけの文章です。読みたくない人は全く同じものを買えばOKです。

全体概要

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構成はこんな感じです。青線がSwitch由来の信号が含まれている部分で,最低限必要な部分を示しています。赤線はトークやコメント読み上げのみの部分であり,ゲーム画面/音声以外の情報を配信するために必要な部分を示しています。

構成品は以下のとおりです(Amazonリンクは以下記事中に貼っています)。

  • ゲーム機: 任天堂 Nintendo Switch
  • キャプチャーボード: AVerMedia Live Gamer Portable 2 AVT-C878
  • ゲームプレイ用モニタ:EIZO EV2450-BK
  • iMacApple iMac (Retina 4K, 21.5-inch, 2017),Core-i5クアッドコア@3.4GHz,16GB DDR4,Radeon Pro 560 4GB,Mac OS 10.15.2 (Catalina)
  • 4極オス〜3極メス×2 変換: サンワサプライ KM-A25-005
  • 3極オス〜2極メス変換: フジパーツ AD-620
  • ミキサ: Belkin マルチイヤホンスプリッター F8Z274
  • マイク: OLYMPUS ME52W
  • イヤホン: いろいろ

キャプチャーボード

Macの場合,キャプチャーボードの選択肢は少ないです。おとなしくAVerMediaのものを選ぶのがオススメです。上記リンクは,私が使っているものの後継機種です。UVC・UAC対応(Webカメラ認識),ハードウェアエンコーディング,パススルー対応です。

選ぶ基準は以下3点があります。他のメーカのものを選びたい場合は参考にしてください。

  • Macがどう認識するか?
    • キャプチャボードには,パソコンに対して「専用ソフトを使って認識させるもの(=ドライバ必要)」「Webカメラとして認識させるもの(=ドライバ不要)」の2つがあります。前者が主流ですが,Macの場合,専用ソフトが対応していないものが多いです。さらに,仮に対応していても,MacOS側のアップデートに追従してくれるかどうか不安ですよね。ということで,Webカメラとして認識させるものを選んだ方が良いと考えています。
  • エンコーディングはハードウェアか?ソフトウェアか?
    • 一般に,PCスペックに自信があるならば,遅延が少ないソフトウェアエンコーディングが良いとされています。しかしMacの場合,前述の理由でWebカメラとして認識させるものを選ぶため,結果としてハードウェアを選択することになる場合が多いです。この場合,パソコンのスペックが低くても使えるメリットを享受できます。
    • なお,ハードウェアエンコーディングはソフトウェアエンコーディングに比べて遅延があると言っても,その遅延量は一般に数十msオーダーです。この映像を配信にだけ使うのであれば,特に気にしなくて良いです。
  • パススルーに対応しているか?
    • PCに映像を取り込むだけでなく,元々ゲームをプレイする際に使っていたモニタにも同時に映像を出力する機能のことです。
    • 結論としては,ハードウェアエンコーディングの場合はパススルー必須です。ソフトウェアエンコーディングの場合,遅延が少ないため,PCに取り込んだ映像を見ながらプレイすることが可能です。一方,ハードウェアエンコーディングの場合は,PCに取り込んだ映像には遅延があり,配信には問題なくてもプレイに耐えうるレベルではないと考えてください。そこで,これまで同様,別にモニタを用意し,そのモニタに対してもパススルーしたゲームの映像を流す必要があります。
    • 私の「全体概要」に示した図で,キャプチャーボードでiMacだけでなくEIZOのモニタにも映像が出力できているのはこのためです。これは,パススルー機能を使って実現しています。

マイク

OLYMPUS 単一指向性マイクロフォンセット ME52W

OLYMPUS 単一指向性マイクロフォンセット ME52W

  • 発売日: 2006/12/16
  • メディア: エレクトロニクス

正直,マイクにこだわる必要はありません。私も以前は,iPhoneを買った時についてくるイヤホンでやってました(操作部にマイクが内蔵されています)。もしこだわりたい方は,私が今使っているオリンパスのピンマイクを薦めます。単一指向性,アナログ(2極モノラル)出力,簡易風防つきです。

選ぶ基準は以下4点があります。詳しく知りたい方は参考にしてください。

  • 指向性は?
    • 一番大事です。「無指向性」「単一指向性」があります。詳細は長くなるので説明しませんが,部屋中から様々な音を拾いたい場合は無指向性を,1人の声だけを拾いたい場合は単一指向性を選ぶのが普通です。要するに,配信においては単一指向性がオススメです。単一指向性のものを選ぶと,キーボードのタイプ音などの生活音を比較的小さくすることが可能です。
  • PCへの入力方法は?
    • 「アナログ入力(イヤホンジャックに指すタイプ)」「デジタル入力(USBポートに指すタイプ)」があります。デジタル出力の方がノイズが少ないと言われていますが,パソコンにドライバを入れる必要があります。キャプチャーボードと同様に,Macの場合,対応しているか不安ですね。私はおとなしくアナログ入力にしています。とはいえ,最終的には趣味で選べば良いと思います。
  • モノラル/ステレオ?
    • 良いマイクを買おうとしてステレオマイクを買う人がいますが,だいたいの場合意味がありません。アナログ入力の場合,パソコン側がモノラルにしか対応していないからです。そもそもマイクの音声がステレオだと視聴者も聞きづらいです。どうしてもステレオにしたいという奇特な方は頑張ってググってください(結構難しいです)。
  • 風防とポップガードは付いているか?
    • 趣味の世界です。が,配信でガチで稼ごうとする方は気にした方がいいです。詳細はググって下さい。簡単に言うと,テレビで芸能人が街ぶらロケするときにつけているやたら羽のついたピンマイクや,レコーディングのマイクの前に付いてる変なフィルター状のものです。
    • 昔から「ライブ配信は映像の綺麗さより音声の綺麗さが大事だ」と言われているようです。そのためにはノイズを減らす(S/N比を上げる)ことも大事ですが,それよりは風切り音と破裂音を減らすことの方が重要だと私は思います。私自信の配信は,稼ごうとしていないので,そんなにはこだわっていないです。

参考: マイクを別に買いたくない方

iPhoneを買ったときに付いてくるイヤホンマイクで対応できます。あの製品,イヤホンは別に普通だと思いますが,マイクは結構品質良いんですよね。

その場合,上記のようなスプリッタを通すと,イヤホンマイクの信号をイヤホンとマイクに分離できます。これを使うことをお薦めします。

ミキサ

配信には直接関係ありません。が,ゲーム音とコメント読み上げ音を同時に聞くためにスピーカーを使うと,その音がマイクを通じて配信に乗ってしまう恐れがありますので,ミキサを使ってどちらもイヤホンから聞けるようにすることをオススメします。

初めて購入するミキサとしてはこの製品がド定番となっていますので,迷わず買って下さい。ちなみに,この製品は正確にはスプリッタ(=1つの音源を複数に分解するもの)です。が,原理上,逆方向の動作をするミキサ(=複数の音源を1つに混ぜるもの)としても動作します。なお,希にノイズがひどいという方がいらっしゃいますが,頑張ってインピーダンス調整したりすればなんとかなるんじゃないでしょうか(投げやり)。

変換アダプタ類

iMacやMacbookProのイヤホンジャックは「4極*1」です。4極とは,一言でいうと,1つのアナログ線の中にマイクとステレオイヤホンを同時に収容する方式です。そのため,マイクとステレオイヤホンを別々に用意する場合は,こういった製品で「マイク3極+イヤホン3極→4極」に変換してやる必要があります。製品は何でもいいです*2

オリンパスのマイクが2極出力であり,今紹介したアダプタが3極入力を求めますので,こういった製品で変換しなくてはなりません*3。製品は何でもいいです*4

パソコン&ソフトウェア

パソコンはある程度のものであれば大丈夫かと思います。最近のMacならばだいたいなんとかなるかと思います。スペックとしては,一般に,CPUが一番大事だと言われています。

設定方法も書こうと思いましたが,長くなりそうなので別記事にします。この記事では使っているソフト(全てフリーソフト)をご紹介します。

配信ソフトは迷わずOBSを使って下さい。OBSの設定ですが,特にゲーム配信の場合,画質(ビットレート)よりフレームレート(fps)優先の設定にした方がいいです。

音声ミキサはOBS付属の機能でも十分ですが,私が昔ねとらじ界隈の人間だったので,その名残でLadiocastを使っています*5。気軽に音声調整できるので便利です。

おわりに

配信プラットフォームとしてTwitchを使っています。この設定で配信したアーカイブ動画を以下においておきます。映像はHDです。音声は,マイク音声がちょっとだけ小さいかなと思いますが,ノイズが乗っていないクリアな音声になっているのではないでしょうか。

www.twitch.tv

*1:4極とは,ステレオ音声(L,R)+マイク+GNDの4つがあることを示します

*2:4極変換アダプタでググると「4極にはOMTPとCITAがあるから気をつけろ」と脅してくる記事がたくさんありますが,2020年現在の日本において,個人がCITA以外を使う必要はありません。普通にコンシューマ向け製品を選んでおけばCITAになります

*3:正確に言うとマイクがパッシブかアクティブかで違いますが,面倒なので説明は省略します。

*4:レビューで「マイク音声がL/Rの片方にしか乗らない!」というクレームを書いている人が多々いますが,一切気にしなくていいです。確かに,2極→3極に変換する際,L側にのみ音声を載せる製品とL/R両方に音声を載せる製品があります。しかし,Macでは,そもそもその後4極に変換する必要があり,そのときモノラル信号になるため,結局意味がありません。なお,Mac以外のPCで,イヤホンとマイクを指す口が別個にあるタイプであっても,マイク側は2極しか読み取れない場合がほとんどなので,いずれにしろ意味がありません。つまり,よほど特殊な環境をお持ちの方以外は,気にしなくて良いということになります。

*5:ソフト名がRadioでなくLadioなのは,元々ねとらじ用に開発されたソフトであるためです。ねとらじは,初期サービス時にドメイン名の問題でわざとladioというドメインを使っていたため, "Ladio" と書く場合が多いです。スペルミスではないそうです。