フリー切符のススメ

この記事は、はんドンクラブ Advent Calendar 2022 - Adventar 2日目の記事です。

フリー切符

突然ですが、みなさんはフリー切符って使ったことありますか? フリーパス・周遊パスなどとも呼ばれる、定額で一定の期間鉄道に乗り放題となる切符です。乗車できる鉄道会社やエリアが決まっており、その中で乗り降り(途中下車)が自由にできます。鉄道ファンに限らず、旅行や移動にとても便利な切符です。

今日は、フリー切符についてあまり知らないけども興味はある方を主な読者として、フリー切符を紹介します。みなさまの旅行の参考になれば!

はじめに

この記事は、いわゆる鉄道ファン向けのものではなく、一般の方に鉄道に興味を持って頂くことを目的としたものです。路線名等の正確性など、重要でない部分についてはあえてわかりやすさを重視した表記としている箇所があります。

また、時間の許す限り調査したものの、情報が古い可能性があります。実際のご旅行の際は必ず一次情報を調べるようにしてください。

フリー切符利用の心構え

元を取ろうとしてたくさんご飯を盛る人

言いたいことはただ一つです。それは、"元を取る"ことを重視しすぎないことです。

せっかく乗り放題の切符を買うのだからと、正規運賃に比べて損をしたくないと考え、長時間列車に乗る旅程を組んでしまいがちです。このように"元を取る"ことに注力しすぎると、1日のうち移動時間が占める割合が増えたり、特急を使わず各駅停車を使うプランを組んでしまったりと、結果的に時間を浪費します。結果、観光に使える残り時間が少なくなり、旅行の満足度が下がります。無理しない旅程を組みましょう。

ちなみにこの記事では、フリー切符で乗車できる観光列車を紹介しています。観光列車のように、乗車自体を目的にできる列車は、列車に乗っている時間が多少長くても旅行全体の満足度が下がりにくいです。フリー切符と相性良し、と言えるかと思いますので、是非ご検討ください。

のりつぶし帳を使って記録する場合もあります

なお、鉄道に乗ることを主目的とするのりつぶし*1で使う場合は例外です。その場合は、確かに、"元を取る"という気持ちは重要です。

フリー切符の選び方

現在、様々な鉄道会社から様々なフリー切符が発売されています。しかし、切符に依って利用条件がかなり異なりますので、しっかり比較する必要があります。細かい利用条件を読むのは苦痛かもしれませんので、特に注意して欲しい点を解説します。

旅行したい時期に使えるか?

全てのフリー切符が年中発売されているわけではありません。旅行をしたい時期に発売されているかどうか確認しましょう。ちなみに、私の感覚では、年中発売されずに観光シーズンだけ発売されるフリー切符の方がお得な切符が多い印象があります。

また、有名な青春18きっぷは「連続しない任意の5日間」で使える切符ですが、他のフリー切符は「連続する○日間」でのみしか使えない場合が多いです。旅程と照らし合わせて、使えるかどうか検討してみてください。

特急に乗れるか?

特急列車

フリー切符における特急(新幹線を含みます)への乗車レギュレーションは、大きく分類すると以下の3種類となります。

  1. 乗れない(かつ、特急料金(差額)を支払っても特急には乗れない)
  2. 乗れない(ただし、特急料金(差額)を支払えば特急には乗れる)
  3. 乗れる(ただし、普通車自由席のみ)

特に1. と2. の違いに注意しましょう。 例えば、今回紹介している切符では、青春18きっぷは1. に、JR東日本近鉄の切符は2. に、JR九州の切符は3. に分類されます。JR北海道の切符は少し複雑で、特急は3. ですが新幹線は1. となります。

いつまでに購入する必要があるか?

締め切りを確認しましょう

  • 利用開始日の当日でも購入できる
  • 利用開始日の○日前までに購入が必要

の2種類があります。言い換えると、突然旅行を思い立って出発日に買おうと思っても買えない切符もあることに注意ください。

ちなみに、購入場所も注意してください。例えば、JR北海道のフリー切符は、「JR北海道の窓口でしか購入できない」かつ「利用開始日の前日までに購入必要」です。つまり、例えば首都圏から北海道旅行に行く場合、(北海道に友人が住んでいない限りは)初日にフリー切符が使えません*2

フリー切符の紹介

この記事の本編です。有名なものを中心に、現在発売されているフリー切符をいくつかご紹介します。

青春18きっぷ(JR各社)

青春18きっぷ

  • 概要: JR旅客鉄道の全ての普通列車が乗り放題
  • 特急・新幹線: 不可(差額を支払っても不可)
  • 日数: 5日(連続している必要なし)
  • 販売期間: 春休み・夏休み・冬休み期間
  • 費用: 12,050円

有名な切符ですので、ご存じの方も多いのではないでしょうか。JRの各駅停車・快速・○○快速などにだけ乗れます。例えば、私鉄・元JRの第三セクター鉄道には乗れません。また、JRであっても特急列車には乗れません。詳細は調べてください。

この切符を使う場合、以下に注意してください。

  1. 特急料金を追加で支払っても特急には乗車できないこと*3
  2. 列車の遅延・運休になんの補填がないこと
  3. 鉄道に乗ることが主目的でない限り意外と使いづらいこと

鉄道は定時性の高い乗り物ですが、止まることもあります

特に地方では普通列車の本数は少なく、遅延した場合の列車の接続も保証されません*4。ですから、普通列車しか使えないこの切符で、ギリギリのプランを組んではいけません。それは、紙の時刻表からスジを理解して、列車遅延の時のリカバリープランを自力で組めるくらいの人が組むものです。そうでない方はともかく余裕を持ってプランを組みましょう。

なお、前述のとおり、青春18きっぷでは、追加料金を払っても特急には乗車できません。しかし、快速列車には乗車できます。しかも、指定席料金やグリーン料金などの追加料金が必要な快速列車も、追加料金を支払うことで乗車可能です。

観光列車もこれに該当するものが多数あります。青春18きっぷとの組み合わせでオススメできるものをいくつか紹介しますね。

リゾートビューふるさとJR東日本

www.jreast.co.jp

追加購入が必要な切符

姨捨駅はめっちゃきれいです。

南小谷駅で列車を逃してしまい、駅前の川で一人で水遊びをしている様子です。

まずは、首都圏から近い、リゾートビューふるさとです。長野駅を起点に、信越本線大糸線を走る快速列車です。車両自体は観光列車というほど豪華なものではありませんが、途中観光のためいくつかの駅で長期停車してくれます。例えば、姥捨駅には15-30分ほど停車しますので、列車から降りてスイッチバック*5する列車と目の前に広がる景色を楽しむことができます。途中、穗髙神社への参拝もできます*6

リゾートしらかみJR東日本

www.jreast.co.jp

追加購入が必要な切符

リゾートしらかみ車内(青池 HB-E300系)

www.instagram.com

東北地方のオススメはなんといってもリゾートしらかみです。青森駅秋田駅間を中心に五能線奥羽本線を走ります。車窓から日本海の景色が一望できることで知られています。うまく写真がとれなかったので、詳細はJR東日本のホームページでも見てください。

終点の秋田駅でたべたきりたんぽ

各種SL

www.jreast.co.jp

追加購入が必要な切符

SLみなかみ 車両 (D51形)

www.c571.jp

SLは快速列車として運転されることが多いため、青春18きっぷでも乗車できることが多いです。ここでは、群馬県山口県で運行されているSLを紹介していますが、SLは他の区間でも運行されていますので調べてみてください。ただ、普通列車よりもスピードが遅く、時間効率は悪いです。さらに、座席はとても堅く、全く快適ではありません。あくまでSL列車に乗ることが目的となります。

べるもんた(JR西日本

www.jr-odekake.net

べるもんたの運転区間JRおでかけネットより引用)

www.instagram.com

富山県高岡駅を起点に、氷見線城端線で運行される観光列車です。お酒も頼めますし、飲食もできます。お寿司が食べられるそうですよ。

実は乗ったことがありません。お隣の石川県を走っている「のと里山里海号」(JRではありません)がとっても素敵だったので、まあこちらも近所だしたぶん凄いだろ!と思って紹介しました。実際、コンセプトは非常に似ています。

あ、関係ないですが、のと里山里海号は中でワインが飲めます。

のと里山里海号の社内の様子(本文と関係ありません)

HOKKAIDO LOVE! 6日間周遊パス(JR北海道

www.jrhokkaido.co.jp

北海道周遊パス(過去販売されていたものであり、紹介する周遊パスとは異なります。)

追加でもらえる特急指定席券の例(追加料金不要のため、値段が¥***になっています)

  • 概要: JR北海道の全ての在来線列車が乗り放題
  • 特急: 可(普通車自由席は乗り放題/普通車指定席は4回まで追加料金不要)
  • 新幹線: 不可(差額を支払っても不可)
  • 日数: 6日(連続している必要あり)
  • 販売期間: ホリデーシーズンにのみ発売
  • 費用: 12,000円

めちゃくちゃオススメのフリー切符です。特急も、普通車自由席であれば乗り放題ですし、普通車指定席も合計4回まで無料で乗ることができます。それでこの値段です。JR北海道は特急中心のダイヤですから、特急に乗れるこの切符は北海道観光において最もコスパのよい切符かと思います。

注意点として、この切符は「利用開始日の前日までの購入が必須」かつ「JR北海道の駅でしか販売していない*7」です。ネット販売もありません。

私が利用したのは何世代か前の切符です。このときは期間が3日と短かったので、利用しやすかったんですよね・・・。なお、現在でも、きた北海道などのエリア限定であれば期間の短い切符が設定されているようです。ご興味ある方は調べてみてください。

なお、北海道の観光列車にはあまり乗ったことがないのでオススメは控えます。ちなみに、北海道の特急は本当に長い距離を運行しますし、雪で列車が遅れることは日常茶飯事です。時間管理に気をつけてくださいね・・・(上の特急券の所要時間も参考に)。

雪まつりにも行きました

でも、あまり旅行の写真がなかったので、網走監獄で食べたご飯の写真で許してください。700円です。

週末パス(JR東日本

www.jreast.co.jp

週末パスの利用範囲(JR東日本HPより引用)

週末パス

  • 概要: 首都圏+東北の一部のJR東日本・各種私鉄の全ての普通列車が乗り放題
  • 特急・新幹線: 不可(ただし特急料金/新幹線料金のみ支払で乗車可)
  • 日数: 2日(連続している必要あり)
  • 販売期間: 週末にのみ発売
  • 費用: 8,880円

期間が2日間と短めで使いやすい切符です。この切符だけでは普通・快速列車にしか乗れませんが、青春18きっぷと違い、特急料金を別途支払うことで特急に乗ることができます。更に、主に首都圏を除いたエリア内の私鉄(例: 長野電鉄上田電鉄会津鉄道伊豆急行富士急行鹿島臨海鉄道など)にも乗ることができます。

これまで紹介した青春18きっぷなどと比べると、2日しか使えないのに少々高い気がしてしまいます。でも実は、東京-仙台間を往復するだけでも元が取れるほどお得な切符です。単なる移動につかってもよし、観光列車に乗ってもよしの切符です。

なお、青春18きっぷで紹介したリゾートビューふるさとなどは、このフリー切符の範囲外です。代わりにこの切符+追加料金で乗れる列車をご紹介します。

お座トロ展望列車(会津鉄道

www.aizutetsudo.jp

福島県を走る会津鉄道の観光列車です。別途指定席券購入が必要です。この列車は山の中を進む列車で、ともかく車窓からの景色が良いです。一番のオススメは紅葉の季節に乗車することです(その分、競争率は高いです・・・)。窓のないトロッコ席、お座敷席などを選択することも可能です。

www.instagram.com

紅葉は本当にきれいなので、Instagramとかで写真をみて頂くと良いと思います。

あまりに写真がなかったので、会津若松駅で食べたラーメンで我慢してください。

サフィール踊り子(JR東日本

www.jreast.co.jp

東京・新宿から静岡県伊豆急下田まで運転している観光列車です。別途特急券が必要です。踊り子号はJRの伝統的な観光列車ですが、サフィールはなかでも新しい踊り子号です。「これから旅行に行くんだ」という気分を盛り上げてくれますね。

あー、写真がなくて困りましたね・・・。

写真がなくて申し訳ないので、伊豆に泊まったときの朝ご飯を貼っておきます。

箱根フリーパス(小田急

www.odakyu-freepass.jp

箱根フリーパス

箱根ケーブルカー車窓

箱根ロープウェイ車窓

首都圏から箱根観光をするためのフリー切符です。小田急線各駅からの往復切符(こちらは乗り降り自由ではありません)が付いています。

箱根観光の他、箱根方面でののりつぶしが必要な方はご検討ください(のりつぶしの対象にロープウェイを加えるべきかどうかは諸説あります)。

近鉄週末フリーパス(近鉄

www.kintetsu.co.jp

www.instagram.com

近鉄週末フリーパスの利用区間近鉄公式HPより引用)

特急に乗る場合に追加購入が必要な切符

  • 概要: 近鉄全線(特急を含まない)が乗り放題
  • 特急: 不可(ただし特急料金のみ支払で乗車可)
  • 日数: 3日(連続している必要あり)
  • 販売期間: 週末
  • 費用: 4,200円

関西からはこちらを紹介します。近鉄は、大阪・奈良エリアを中心に関西-名古屋間で営業している私鉄で、私鉄の中で最長の鉄道会社です。その広大な路線全域に、この料金で3日間乗り放題ですから、お買い得です(実は以前は3,000円で同等の切符が販売されていたのですが・・・)。なお、別途特急料金を支払えば特急にも乗車可能です。伊勢、志摩などの観光や、大阪ー名古屋移動ついでの観光におすすめです。

なお、伊勢エリア限定のフリー切符など、様々な切符が販売されていますので、旅の目的に併せて使い分けて見てくださいね。

www.instagram.com

伊勢神宮までも行けます。写真は消費期限偽装問題で販売中止中の赤福本店です。

みんなの九州きっぷ(JR九州

www.jrkyushu.co.jp

  • 概要: JR九州の全線が乗り放題
  • 特急・新幹線: 可(普通車自由席は乗り放題/普通車指定席は6回まで追加料金不要)
  • 日数: 2日間(連続している必要あり)
  • 販売期間: ホリデーシーズンにのみ発売
  • 費用: 18,000円(ただし、北部九州限定であれば、9,500円で販売)

JR北海道と似た切符です。少々高いですが、JR北海道と違って、新幹線にも乗れるところがポイントです。

3日前までに購入する必要があるので注意が必要です。ただし、JR北海道と違ってネットで購入可能です。

この切符はもちろん観光列車にも乗ることができます。九州は観光列車*8が非常に多く、それぞれ個性的な列車となっていますので、大変オススメです。いくつか紹介させて頂きますね。

特急 ゆふいんの森JR九州

www.jrkyushu.co.jp

由布院駅内にある足湯

ゆふいんの森の車内

ゆふいんの森車内2

博多駅から大分県の湯布院・別府という温泉街まで運転する、九州を代表する観光列車の一つです。乗車中に特筆すべきイベントがあるわけではありませんが、レトロな雰囲気を楽しめてオススメです。また、車内販売も充実しています。

特急 A列車で行こうJR九州

www.jrkyushu.co.jp

A列車で行こうの車内(JR九州公式HPより引用)

乗ったことがありません。熊本駅始発で三角線という路線を走りますが、熊本県内のみで完結します。運行距離が短く1時間もかかりませんので、気軽に観光列車に乗ってみたい方にオススメです。なお、車内にバーカウンターが設置されており、ハイボールが飲めます。

特急 あそぼーい!(JR九州

www.jrkyushu.co.jp

あそぼーいの車内(JR九州公式HPより引用)

乗ったことがありません。豊肥本線日豊本線を経由して熊本-大分間を結ぶ特急列車で、途中阿蘇にも停まります。名前のとおり、子供を遊ばせることのできるスペースが非常に広く確保されています。お子さんがいらっしゃるファミリーにオススメです。阿蘇観光にいかがでしょうか。

お年玉乗り放題きっぷ(現在は販売されていません)

ちなみに、以前は上記のような更にお得な切符があり、これを紹介しようと思っていました。でも残念ながら、2019年を最後に発売されていないようです。

あれ、そういえば、熊本の写真がないですね・・・。

熊本駅で買った駅弁の写真で我慢してください。

おわりに

いかがでしたか?

今回は旅行できる範囲が広いフリー切符を中心に紹介しましたが、ご紹介できなかったフリー切符はまだまだあります。興味のある方は調べてみてください。

もっと写真を探せれば良かったのですが、時間が無くやむを得ず代替の写真を使ったところもありました。ごめんなさい。

関西・東海圏が少ないのはわざとです。あまり使いやすいフリー切符がないのと、JR西日本のフリー切符がコロコロ変わるため筆者があまりよく知らないというのが理由です。

なお、フリー切符にこだわらなければ、オススメの観光列車は他にもたくさんあります。フリー切符はないという理由で紹介を見送ったけれどもオススメの切符もあります。また何かの機会にそういったお話もできるといいですね!

アドベントカレンダーはまだまだ続きますので、明日以降の記事をお楽しみに!

*1:日本中の鉄道区間全てに乗車すること。JRだけ対象とする人、上下線で別路線としてカウントする人など、様々な流派があります。

*2:メルカリ等で購入できる場合もありますが・・・。オススメはしません。

*3:新青森~青森間、宮崎〜宮崎空港間など追加料金が不要で特急列車普通車自由席に乗車できる例外や、「青春18きっぷ北海道新幹線オプション券」を購入すると北海道新幹線等の一部区間に乗車できる例外などはあります。

*4:そのほか、通常の切符を利用している場合、列車が止まっても振替輸送の対応を受けられる場合が多いですが、青春18きっぷではそういった対応が受けられまない場合がほとんどです。

*5:列車が逆方向に進むこと。鉄道ファンに人気があります。

*6:現在はコロナの影響で穗髙神社への参拝はできないようです。

*7:私が過去同等の切符を購入したときは、東京に1箇所だけJR北海道の窓口があり、そこで購入できました。でも今はその窓口は潰れてしまいました。

*8:本来、JR九州では観光列車のことを D&S列車と呼称しますが、ここではわかりやすさを優先して観光列車と記載します。

転職記録

会社を辞めて転職しました。

これはいわゆる「退職エントリ」ではなく,転職活動に関して感じたこと・気をつけたことをまとめる記事です。主に自身のために書かれており,次回以降の転職の参考にするための記録を目的としています。あまり他者に読んでもらうことを前提としていません。とはいえ,もし似た境遇の方が居れば参考になれば幸いです。

前職

そこそこ大きな日系企業で,職種はシステム開発の(一応)エンジニアです。社外の人にはシステム開発の(一応)テックリードですと説明してました。受託ではなく自社製品開発です。また,主な責任範囲は要件定義と基本設計です。ただし一部プロマネ業務もあり,プロジェクトのキック,プロジェクト中に発生した技術・金・スケジュールの課題解決をすることも責任範囲に含まれる場合があります。要するに手を動かす人ではありません。異動も何度か経験しています。また,退職時には(一応)役職がついてました。

転職理由

嫌なことがあって辞めようと決めた訳ではありません。もちろん多少の不満はありましたが,どの会社でも似たようなことはあるだろうなという類いのもので,転職の重要な理由ではありません。転職を決めたポジティブな理由は,大きく以下3つです。

新しい経験がなくなった

これが一番の理由です。

新入社員で最初に配属された部署は,私にとってミスマッチでした。専門外で,教科書に書いてあることも知らないような分野です。まあ,大きな会社ではよくあることです。ただ,この配属により,知識は非常に広がりました。業務量が多く常に多忙だったことと引き換えに,私は新しいことを知る・学ぶ・経験するのが好きなんだなということに気づきました。

ただ,学びや経験には限界があります。あるときふと,「あれ,この1年,過去と同じことを繰り返しているだけじゃね?」と気づきました。わかりやすさのために大げさに言うと,直面する課題がほぼ全部やったことがある課題で,話の途中で「ああこれ,どうせこういう問題だろうから,こうしないと解決しないだろうな」と分かってしまうのです。「これ進研ゼミでやったやつだ!」です。ここだけ聞くと単に仕事できる奴アピールに聞こえるのかもしれませんが,私にとっては仕事がすべて単純作業に見え,辛いものがありました。

育成や,よりレイヤーの高いマネジメントもやりました。しかし,それも大体全部同じパターンに集約されることに気づきました。もちろん,学べることはゼロではなかったと思います。ただ,そのペースが鈍化してしたのは事実で,今後部門が変わっても状況は変わらないだろうと思われます。

本業に割ける時間が少なくなった

入社直後はエンジニアっぽい業務が大半を占めていましたが,退職直前の業務比率は,ミーティング6割・事務仕事3割・エンジニア1割くらいです。大きな会社では,役職がつくと,誰も読まない報告書を書く仕事が増え,形だけの会議が増え,エンジニアリングの時間は減るものです。そして,本業に近かったはずの仕事も,誰々のパソコンが壊れただの,予算削減しろだの,なんとかの申請書を書けだの,本質的でないタスクが大半となりました。

このように,自己の本業(と思っていること)をやる時間はひたすら削られていく感覚がありました。加えて,本業以外の仕事すら新しいタスクはどんどん減ってきて,前項で説明した単純作業に感じられてきました。

将来への不安があった

いろいろな意味での不安です。まず,この会社は大丈夫なんだろうかという不安です。世間の感覚とずれていることが多すぎます。本業の業績は芳しくありません。定年まで働いたとしても,その頃に会社がどうなっているかわかりません。

しかし,一番の不安はこれではありません。「自分のスキルや業務経験が完全にこの会社独特のものである」という不安です。社内では一定の評価をしてもらえていても,転職のために自分のスキルや業務経験を整理すると「あれ?私は何ができるんだ?」となってしまいました。日系企業あるあるですよね。

また,私のいた会社は,皆がオールラウンダーであることが求められました。そのため,業務内容と自己の責任範囲がうまく説明できず,KPIもうまく説明できません。そうなると,転職活動をしようにも「結局なにを経験したんだっけ?なにができるんだっけ?」となってしまいます。

このように,自分のキャリアパスを考えると,名実ともに業務経験やスキルがあまりに不足していると感じました。自分の年齢を考えても,早く新しい経験をすべきだと思いました。

転職に際して重要視したこと

年収を上げたいだけを理由にしてしまうと失敗するだろうなと思ったので,転職活動の着手前にポリシーを定め,自分が何を目的に転職活動をするのかを意識できるようにしました。

  • 進め方
    1. いい転職先が見つからなかったら無理に転職しないこと
    2. 全ての意思決定の前に家族の同意を得ること
  • 転職先の選び方
    1. 年収条件
    2. 残業時間が現状と同等以下であること
    3. 現状リモートワークでコロナ後も継続の見込みがあること
    4. 数年後に自分のスキル・経験が語れるような業種にすること(具体的には,現職と何かしら関連がありつつも同じようなな仕事でないこと)
    5. エンジニアリングができる職種であること
    6. カスタマーワークが可能な職種にすること

最後の3つは,転職理由にも関係しています。今のご時世,何度も転職する可能性があると考えると,「なんかしらんけどちゃんとしてそうな実務経験がありそうにみえる」ことが大事だと思いました。実態は二の次でよく,そう見えるかどうかです。そこで,自分が将来行きたいなと思う可能性がある会社の求人票も含めて幅広く読んで,その必須条件や歓迎条件と自分の経験のギャップを考えました。そして,自分の技術領域が相当狭そうにみえることと,社内やメーカー向かいの業務が多くカスタマーフェイシングな仕事をほぼしていないことの2つが短所になりうると考えました(あわせて,プロマネについてはもう十分だろうとも感じました)。そのため,この3つが選び方に含まれました。

転職活動の進め方

転職サイト・エージェント

エージェント型の転職サイトが良かったので,特に理由はありませんがなんとなくビズリーチに登録しました。

登録すると,エージェントから(おそらく自動で送る設定になっているであろうテンプレートの)メールが大量にきてうんざりする訳ですが,よさげな求人を送ってくれた3名の方とそれぞれ電話で面談をしました。具体的な求人票の添付がないエージェントはガン無視しました。

職務経歴の整理

その後,職務経歴書を作りました。転職活動においてここに一番時間をかけましたし,一番苦労しました。実際,職務経歴書自体はあまり重要ではない(と思う)のですが,自分がどういう経験をしたのか,それを全く知らない社外の人に伝わるように話すにはどうしたら良いのかしっかり考えることが,そのまま面接対策になりました。要するに頭の整理です。赤の他人に社内のプロジェクトを説明するのには準備が必要ですし,単に説明するだけでなく自分が何をやったかをアピールできるストーリーに仕立てる必要があります。時間がかかりました。

また,私のいた会社では,部門構成やレポートラインは形式的なものであり,複数のプロジェクトがそれぞれ異なる体制・意思決定ルートを抱え,同時並行されます。そのため,職務経歴書上は所属部門単位ではなくプロジェクト単位で項目を記載しました。多分,こうしないと,抽象的な書き方にしかならず,何も伝わらなかったと思います。また,各プロジェクトでは以下のようなことを書きました。エージェントの方にも日英版両方添削していただき,まあまあな仕上がりになったと思います。

  • プロジェクトのKPIとその達成状況
    • 自身が特に貢献したものだけ書けばOK
  • プロジェクトにおけるチームの役割とフェーズ
    • 要件定義?設計?実装?PoC?試験?導入?維持管理?
  • チーム規模
  • チームにおける自分の役割
    • PLまたはサブリーダーなのか1人のメンバーなのか
  • 実施年数
  • それぞれで経験した技術領域

ちなみに,私は何でも屋さんだったので,広く薄く抑えている技術領域もあります。しかしそれを列挙して「実務経験しました!」と書くと嘘っぽかったので,そういうのは全部消しました。

応募と面接

応募する会社を決め,計4社同時にエントリーしました。リクルーターを2名使い,2社ずつのエントリーです。そして,両者に「別のエージェント経由でもエントリーしてます」と牽制しました。これが良かったのか悪かったのか未だに分かりませんが,根本的に競争が発生しないところに良い成果は生まれないと思っているので,まあ頑張って推薦してねというプレッシャーを与えたかっただけです。性格悪そうですね。

各社こんな感じで選考が進みました。期間はだいたいです。

  • A社(サービスプロバイダー)
    • 面接6回(うち技術面接2回)
    • 結果通知は各面接のだいたい3~4日後(最終結果は3日後)
  • B社(サービスプロバイダー)
    • 面接4回(うち技術面接1回)
    • 結果通知は各面接のだいたい1日後(最終結果は3日後)
  • C社(ITベンダー)
    • 面接4回
    • 結果通知は各面接のだいたい1日後(最終結果は1週間)
  • D社(SIer
    • 面接3回
    • 結果通知は各面接のだいたい2日後(最終結果は1週間)

エントリー後,最初の連絡が来るまでに1週間程度かかりましたが,その後は想像以上のスピードで進みました。振り返ると,面接を受けた期間はちょうど1ヶ月程度です。そうです,1ヶ月に17回も面接を受けたんです。マジで死にそうでした。とはいえ,面接準備は職務経歴書の記載時にほぼ終わっていたので,大変だったのは日程調整ですね。一度間違って他社の面接が入っている時間帯を候補として伝えてしまい,バッティングしそうでした。ただ,コロナ渦ということもあり,基本的に全ての面接がオンラインで行われたので,そういう意味では日程調整も楽だったのかもしれません。

なお,面接で聞かれたことはすべての会社でほぼ同じで,以下の通りです。ちなみに,どの面接官の方も職務経歴書はかなり読み込んでいただいたようで,経歴についての質問はあっても単なる説明を求められることはありませんでした。

  • 志望理由,転職理由
  • 家族は転職に賛成しているか?
  • 技術スキル
  • ○○に苦手意識はないか?
    • ○○には「英語」「コミュニケーション」「顧客対応」「新しいことへのチャレンジ」がよく入ります
  • ○○という問題に対応した経験とそこから学んだこと
    • ○○には「自分の主張が通らない」「チームがまとまらない」「お客さんが怒ってるけどすぐ対応できない」がよく入ります
  • 仕事内容はこういう感じだけど本当にやりたいこととあっているか?

ところで,私は「最後に何か質問はございますか?」というのが嫌いです。そもそも知りたいことは会話の中で聞くので,最後に言われても困っちゃうんですよね。そのため,無難な質問ストックを以下のように作っておき,特に聞きたくはないけどもなんか言うことにしてました。

  • あなたはなぜこの会社に入ったんですか?
    • (会話の流れで面接官が自発的に言うことが少ないため,質問が潰れることがほぼなく安心できる持ち玉。しかしそんなに興味はない。)
  • もしご縁があった場合に入社するまでに勉強しておいた方が良いことはありますか?
    • (志望度が高いことをアピールするテンプレート質問。しかし言われてもどうせやるつもりはない。)
  • どう評価されますか?このポジションでは具体的に何が期待されていてどうやったら活躍できますか?
    • (志望度が高いことをアピールするテンプレート質問2。しかしそれは入社後ちゃんと聞いた方が良いと思う。)
  • テレワークどうですか?はかどってますか?
    • (良いこともあるし悪いこともあるとしか言えない。今日は寒いですね以上の意味はない雑談。)

転職先を決めた理由

ありがたいことに複数の内定通知を頂きました。すると,私は何も頼んでいないのですが,エージェントが勝手に価格交渉してくれました。気づいたら条件が少しずつよくなっていったのはちょっと面白かったです。相見積もりは大事ですね。

決めた会社については言及しませんが,エントリー時には一番志望度が低かった会社で,合格通知を頂いた会社の中で年収が一番低かった会社です。決めた理由はたくさんありますが,以下が大きいかなと思います。

  • オファーについての細かな相談を全て無条件に受け入れてくれたこと
  • 上司が非常に論理的な話し方をされる方で信頼できそうだったこと
  • 総じてレスポンスが早く,入社後も意思決定が素早く行われる気配を感じたこと。特に,外資にも関わらず,日本で大半の意思決定が行われているように見えたこと(多分あってると思う)
  • エンジニア気質の会社な気がしたこと(多分あってると思う)

結局,業務内容や年収条件よりも,こういう他の要素が気になっちゃうものですね。特に最後は結構決め手かもしれません。前職で外資系企業と取引があり,その経験から,「営業気質の会社とエンジニア気質の会社ってはっきり分かれるんだなあ」と思ってました。うまく言語化できませんが,まあ,エンジニア気質の会社の方が楽しそうだなということが言いたいだけです。

タイムライン

  1. 転職を志してから転職サイトに登録するまで: 5分
  2. エージェントを吟味して連絡:1週間
  3. 職務経歴書の記載:2週間
  4. エントリー〜最初の面接:1週間
  5. 面接期間:3〜4週間
  6. オファー〜サイン:1週間

おわりに

いかがでしたか? 特に結びの言葉はありませんが・・・ 誰かの役に立てば幸いです。

(月報) 2022年1月

毎月やったこと・考えたこと・学習したことをきちんとアウトプットしたいと思い,とりあえず月報を書くことにしました。フォーマットなどは,のんさんをリスペクトしています。頻度とか書くこととかは今後変えるかもしれないけどとりあえず始めることが大事かなと思います。

仕事

退職

:str_taishoku: 退職しました。

退職エントリを書くと確実に会社にバレるので,書く予定はありません。ただ,どういう方針で転職活動をしたのか,どういう基準でこの会社を選んだのか,次の転職活動への反省点はなにかを整理して別途記事にしたいと思ってます。

転職理由は「新卒で入って以降学べたことは多かったが,ここ1年くらい学べることがほぼなかったし,当面ないだろうと思った」「業務効率が悪いのは仕方がないが,年々悪化しており,経営層もそれに気づいているのに改善方法が分かっていない」「給料安すぎ」の三つです。

育児

実質育休

退職のおかげで実質育児休暇を取得できました。総論,休暇を取って良かったなと思いました。

この1ヶ月たくさん学びました。一つ紹介するなら「子供はそれぞれ違うので"この月齢なら普通は○○です”というアフィブログは信じるな」かなと思います。というか育児関係のネットの情報は全部嘘と思った方がいいと思います。「私はググって出てきた情報の真偽判定をするスキルがあるのだ」と思い込んでいましたが, それはあくまで自分が詳しい領域の話だということを再認識させられました。育児については全然わからんものです。

料理

直接育児とは関係ありませんが,相当料理を作りました。本当は弁当とかUberとかで済ませる予定だったのですが,妻の体調の問題でそれはよろしくないと言うことになり,基本的に私がずっと作ってました。野菜を食わせるために一番楽な調理方法は,生野菜もいいのですが,味噌汁にぶち込むことだと学びました。生野菜はレパートリーが少なくて飽きやすいけど,味噌汁は何でもいれられるからです。

金がかかる

金かかりすぎ。想像の倍くらい。

年収高めの人の児童手当減らすとかバカなんじゃねえの?少子化を狙ってんの?って思いました。むしろ金持ちは子供産まないと損するようにしたほうが良いと思うのですが。

Best buy

ベビーカメラ代わりに使っています。スマホの他,Amazon echoGoogle homeで見れます。泣き声を検知してスマホに警報を飛ばせるのですが,AIとかいうやつで異常音を判断しているそうで,誤警報確率も不検出確率も比較的低いのが長所です。Wi-Fiが2.4GHzにしか対応していない模様で,電子レンジを使っている間は通信が切れるのが欠点です。

学習

英会話

諸事情でオンライン英会話を始めて1月は2ヶ月目です。ほぼ毎日,1日あたり30分弱やっています。

正直そこまでやらなくていいかなと思っていたんですが,最近はやっぱりやってて良かったなと思い始めてきました。この辺は来月の月報にでも詳しく書けるといいな。

Speakingについて。最近はsmall talkの練習にはまっています。結局,「真に伝えたいことを表現するのはそこまで難しくないが,雑談・大して面白くないジョーク言われたときの返しなど,主題からちょっと外れたトークが難しい」ということにやっと気づいたからです。毎レッスンの始めにsmall talkをやるので,今日やったことを話したり,今日の娘の状況を話したりしています。今日の仕事はどうだった?と聞かれると「paternity leaveだよ」って返してます。

Listeningについて。ここ2~3年ほどグローバル業務から離れていたこともあり,完全に耳が死んでました。でも,この2ヶ月の英会話で結構戻ってきた感じがします。あとは,(聞き取りやすいイギリス英語なので練習教材として必ずしも適切ではないけど,)BBC Learningを聞きまくるのも,一定のスキルアップに効いた気もしてます。オンライン英会話の方がより役に立ってると思うけどね。

www.youtube.com

ただ,そもそも育児で全く時間が無いのに1日30分必ず潰れるのは結構しんどいです。どうやってモチベを維持するかが大事ですね。なんか音ゲーみたいですね。

健康

体調を崩した

年始,娘が生まれた翌日から急に体調を崩していて,正月に急患に行ったり大腸カメラやったりしました。今は回復してるので大丈夫です。

趣味/余暇/その他

ゲーム

1月やったゲームはPikmin BloomとFactorioピクミンは惰性でやってる。Factorioは去年9月くらいから1人でちょこちょこやっていたbobs+angels mod全部入りのワールドをあと1歩のところで放置してたので,ロケットを飛ばしておきました。

カメラ

Mastodonでずっと唸ってたんですが,結局カメラ買いました。RX100M7にしました。よく考えるとまだ娘以外を撮影してない(そのため残念ながら写真はアップロードできません・・・)。

オートモードでかなり良い感じに撮れるのはほんとすごいですね。子供を撮影するときに詳細な設定をしている暇は絶対にないので,オートモードは大事だなと思いました。あと,片手で娘を抱えたりあやしたりしながら撮影することの方が多いので,もう片方の手で持って撮影できるコンデジにしておいて良かったと思いました。

一方,互いの両親へ写真を共有する方法が確立していません。有名どころは「みてね」かと思いますが,「みてね」はiOSのLive Photosが上手く共有できず静止画になってしまうんですよね。幸いにも関係者全員がiOSなので,iCloudの写真共有を使おうかなと思っています。模索中です。

mitene.us

思考/考察

今月はなし。来月から頑張ろう。